2023.02.24ブログ
相続税の基礎知識③ 小規模宅地等の評価減の特例
相続税を考える中で、土地の評価額を減額できる制度「小規模宅地等の評価減の特例」が重要に
なるのではないでしょうか。
なぜならば、小規模宅地等の評価減の特例を利用することにより、要件が満たせば最大で80%も
相続した宅地の評価額を減額することができるからです。
小規模宅地等の評価減の特例について
この特例の目的は、被相続人の自宅や事業用の宅地は、生活や収入の基盤となる財産のため、
相続税の課税によって、相続人が生活や事業の基盤を損失することのないようにという目的で
制定されました。土地を相続された方のほとんどが適用を試みる特例でもあります。
小規模宅地等の特例が適用される宅地は主に以下の3つに分けられます。
- 「特定居住用宅地」…住居用に使用していた宅地
- 「特定事業用宅地」…事業用として使用していた宅地
- 「貸付事業用宅地」…不動産貸付用として使用していた宅地
3つの宅地は、適用される土地の限度面積や減額割合が異なります。
この特例は、対象となる宅地を「誰が相続したのか」が適用要件となっています。
特定居住用宅地とされる宅地 の主な要件
配偶者
・所有・居住に要件なし(申告期限までに売ってもOK)
同居親族
・申告期限まで、所有・居住を続けること
持ち家のない親族(相続人に配偶者も同居家族もいない場合のみ)
・相続開始前3年以内に、自分または自分の配偶者、自分の三親等内の親族又は
特別の関係のある法人の持ち家に住んだことがないこと
・相続開始時に、別居親族が居住している家屋を相続開始前のいづれの時においても
過去に所有していたことがないこと
・申告期限まで、所有を続けること
特定事業用宅地とされる宅地 の主な要件
貸付事業用宅地
・貸付事業を引き継ぐ親族
(申告期限まで所有・貸付事業を続けること)
特定事業用宅地
・事業を引き継ぐ親族
(申告期限まで所有・事業を続けること)
他にも細々とした要件があるため、見極めるのが難しい場合は土地の評価に詳しい相続税専門の
税理士にご相談ください。
特例を受けるためには
相続税の申告と納付には期限が定められています。被相続人が亡くなられた日(亡くなられたことを
知った日)の翌日から10ヶ月以内に税務署への申告と納付を完了しなければなりません。
相続開始日から10か月以内に遺産分割が成立していることが必要です。
特例を使えば相続税がかからない場合であっても、相続税の申告書を提出する必要があります。
まとめ
自宅や事業用宅地は、相続人の生活の基盤となるものであるため、大幅な節税となる特例が
制定されています。相続の手続きは時間がかかるものです。この特例を適用するためにも、
なるべく早く相続税専門の税理士にご相談いただくことをお勧めします。